補聴器と集音器の違い〜集音器を選んでほしい4つの理由
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聞こえに不安や問題がある人にとって、頼りになる存在となるのが、集音器や補聴器です。しかし「聴こえる生活」を取り戻すために、一体どちらを選ぶべきなのでしょうか?筆者が選んでほしいのは、ズバリ「集音器」です。
ここでは、「集音器」をおすすめする理由を、@聞こえ方の自然さ、Aカバーしている周波数帯、B価格、C購入時のリスクについて比較しながらご説明します。
補聴器と集音器の違い「補聴器で聞こえる音は不自然!?」
集音器と補聴器の決定的な違いとして挙げられるのが、「医療器具としての承認を受けているか、受けていないか」です。
医療器具としての承認を受け、医療器具承認(認証)番号がついているのが補聴器で、そうした承認・認証がないのが集音器です。
補聴器は医療器具としての承認を受けているのに、なぜ、「集音器よりもおすすめできない」と言えるのかというと、その大きな理由のひとつとして「補聴器による聞こえの不自然さ」というのが挙げられます。
実は補聴器は、「人の会話を聞くための周波数帯だけを厚くカバーしている」という特性を持っています。
しかも、こうした限られた範囲の周波数帯の設定が、医療機器としての承認を得るために必要なのです。
補聴器は本来の自然な聞こえの周波数帯よりも狭い範囲しかカバーできていない分、聞こえが不自然に感じられるケースが多いのです。
ちなみに筆者が母親のために購入した みみ太郎 は、まさに「人間が聞こえる周波数帯の全域カバー」に踏み込んだ良心的な集音器の代表格と言えます。
参考:みみ太郎 公式サイト
補聴器と集音器の違い「集音器の方が広い周波数帯をカバーしている」
これに対して、集音器の品質はピンからキリまでありますが、良質な集音器の場合「一部の周波数帯だけでなく、人間が本来聞こえるはずの周波数帯を、ほぼ全域カバーしている」というものがあります。
広い周波数帯をカバーしている分、聞こえが自然な感じになりやすいという大きなメリットがあるのですが、「カバーする周波数帯が広すぎると医療機器としての承認を逆に受けられなくなる」ということになってしまうのです。
こうした点を考えると「医療機器としての承認を得られる補聴器のほうが何となくイメージ的にはいい」と分かっていながらも、あえて「使う人のために、できるだけ自然な聞こえになることを優先したい」という理由で集音器として販売しているメーカーが一番良心的、と言えるのではないでしょうか。
集音器の中には、日本では補聴器として承認されてなくてもアメリカのFDAで医療機器の承認を得ているオリーブスマートイヤープラスのような機種もあり、千差万別と言えます。
参考:オリーブスマートイヤープラス
補聴器と集音器の違い「集音器のほうが価格がお手頃」
集音器と補聴器を比べると、集音器のほうが価格がお手頃、という点も見逃せないメリットです。
補聴器だと高いものはそれこそ50万円すら超えるという高価格になりますが、集音器なら、高品質なものでも10万円以下で手に入れることが可能です。
自然に近い聞こえの可能性や価格面のメリットを考えると、「まずは良質な集音器を試してみる」と考えてみてもいいのではないでしょうか。
参考:お試しできる集音器一覧
参考:国民生活センターの注意喚起
集音器と補聴器の違いについては、国民生活センターの記事(下記URL)にも詳しく記されております。
そのなかで粗悪な集音器や業者について注意が促されており、当サイトでは掲載する機種の選定及び解説においてその点の配慮を十分に行っておりますが、参考になりますのでご覧ください。
参考:「通信販売の補聴器等の安全性や補聴効果(概要)」独立行政法人国民生活センター
補聴器と集音器の違い「集音器にはない、補聴器購入時の意外なリスク」
世の中には、高機能な集音器の存在を知らず、「難聴=補聴器」と考えている方が意外と多いようです。補聴器は数万円もする高額商品です。まずは集音器を試してみて、どうしても補聴器がいいという方は、いくつか購入時のリスクがあるので注意してご検討いただければと思います。
「売上第一」で高い補聴器を勧められるケースが多い!
補聴器の販売店で、もっともよくあるトラブルと言えるのが、「高い機種ばかりを勧められる」というものです。
確かに、高い機種のほうが機能は豊富ですが、特に軽度〜中度程度の難聴の人の場合は「シンプルな機能の安い補聴器でも、その人にとっては良く聞こえる」という機種が見つかる可能性もじゅうぶんにあります。
ですが売上第一で「安いものは悪い」と言わんばかりにバッサリと切り捨てて、高価格な機種ばかりを勧められるケースも少なくないのです。
試聴ができない販売店もある!
「補聴器販売店は試聴ができるのがメリット」と思っている人は多いと思いますが、実は「試聴器のコストをケチり、試聴器を置いていない」という販売店も少なからず存在します。
試聴してこそ、その補聴器との相性が分かるのに、それをさせないような姿勢の販売店は、難聴に対する配慮ができていない、質の低い販売店だと言えるでしょう。こうした販売店での購入も、避けたほうが無難です。
素人が補聴器のアドバイス!?
補聴器販売店の販売員は、聞こえの問題や、個人個人に対する補聴器の適性の判断などができるプロであることが望まれますが、実際は、「資格も何もない素人が販売員をしている」というケースも少なくありません。
「何の知識もない素人の販売員が、数多くの補聴器の中から、素人判断でおすすめを選ぶ」と考えると、それがどれだけいいかげんで、信頼性がないものかが分かりますよね。
そんな「いいかげんで信用できない素人の販売」を避けるためには、「言語聴覚士」または「認定補聴器技能士」のどちらかが常駐している販売店を選ぶ、というのが最低条件となります。
ちなみに、「言語聴覚士資格」と「認定補聴器技能士資格」のレベルはかなりの差がありますので、できれば聞こえに関するプロである「言語聴覚士」がいる販売店のほうが、より望ましいと言えます。